Hallo! こんにちは、みつこです。
今回は、DTZ(移民向けドイツ語試験)に向けて、私が実践した勉強方法を紹介します。
実際の生活におけるドイツ語は、インテグレーションコースでの勉強が基本となるので、本記事では「試験対策」という観点で書いていきたいと思います。
私のドイツ語講師はDTZの試験官の資格・経験もある人だったので、参考になる情報がたくさんお届けできるのではないかと思います!
▼ 目次 ▼
まずは試験の概要をつかもう
まず今回の記事で話題としているのは、通称DTZという、移民向けのドイツ語試験です。正式名称はDeutsch-Test für Zuwanderer A2·B1で、インテグレーションコース(Integrationskurs)の修了試験にもあたります。
つまり、主な対象者は「ドイツに引っ越してきた外国人」で、試験の内容も「最低限、一人で日常生活を送れるレベル」のドイツ語にフォーカスしています。
試験は以下3つのパートに分かれています。
- 聴解/読解(Hören/Lesen)→マークシート形式
- 作文(Schreiben)→ 2つの課題のうち1つを選んで回答する
- 会話(Sprechen)→ さらに3つのパートに分かれる
試験の時間は、筆記試験が合計100分程度、口頭試験が15~20分程度です。
筆記は休憩を挟まずに行うので、集中力が必要です。
詳しい配分は以下の通り。
聴解(Hören):25分
読解(Lesen):45分
作文(Schreiben):30分
会話(Mündliche Prüfung):15~20分
試験の合否についてですが、このDTZの場合は、合格/不合格という白か黒かの基準ではありません。
リスニング&リーディング、ライティング、スピーキングの3観点で、それぞれB1/A2/A2未満で評価されます。さらにB1・A2は優と良の二段階に分かれます。
Integrationskurs合格には、3観点のうち2つ以上がB1判定になる必要があります。逆に言えば、スピーキングで緊張して実力を発揮できなかった…なんてことがあっても、他のテストでしっかりできれば全体ではB1評価となるということです。
苦手な分野がある人にもチャンスがありますね!
実際に行った試験対策
私の通っていたクラスでは、試験の約1か月前に口頭試験のペアを考え始め、約2週間前ごろから模擬試験を行ったり、試験内容に即した対策を行うようになりました。
しかし、個人的には、早めにWEB上にある公式の模擬試験に目を通しておくのがおすすめです!なぜなら、出題形式がわかっていると普段の授業でも試験で必要になるポイントを意識できると思うからです。
模擬試験は、以下のHPから無料でダウンロードできます。
音声データや回答も付いているので、どんどん使っていきましょう!
TELCのHP → Übungstest、Modelltest
ドイツ移民局(BAMF)のHP → DOWNLOADS内の「DTZ-Modellsatz」
では、実際に私が試験合格にむけて行った対策と、ドイツ語講師から教わった試験でのポイントをお伝えしていきます!
聴解/読解(Hören/Lesen)
私が思う大事なポイントは、「基本的な文法」「単語」です!!
まず基本的な文法について。
これについては、まず格変化(とくにDativ/Akkusativ)と、文における動詞の位置をしっかり勉強してください。
これだけでもしっかりわかっていれば、穴埋め問題はかなり良い点数をとれると思います。
続いて単語について。
DTZの試験自体が「ドイツ語母語話者でない移民の人たちが、ドイツで日常生活を送れるように」という基準で出題されており、意地悪なひっかけ問題や複雑な単語はあまりでてきません。
そのため、読解で大事なのは「文全体の意味が分かること」になってきます。そのためには「単語の意味が読んでわかること」が必要です。
単語がたくさんわかれば、文法があやふやでも、何についての文章かが文脈から理解できます。
読解だけで言えば、書けなくても発音できなくてもいいんです。
まずは「読んでわかる!」これが大事です。
なお、単語は穴埋め問題でも重要です。
A1の試験対策でも書きましたが、単語を覚えるときは必ず冠詞(der, die, das)も合わせて覚えましょう。
一回で覚えられなくても大丈夫!
何度も復習することで、だんだん覚えていきますので、根気よく復習しましょう!
作文(Schreiben)
作文の対策は、基本的に何回か解いてパターンを身に着けるのが個人的なおすすめです。
私の場合は、試験1か月前から週2~3回手紙を書いて、先生にチェックしてもらっていました。
まず、はじめと結びの挨拶は忘れずに。
たとえばSehr geehrte...やMit freundlichen Grüßenなどの挨拶は、定型なのでまるっと覚えちゃいましょう。
手紙をSie(フォーマル)で書くべきか、du(インフォーマル)で書くべきかを考えます。基本的には、面識のない人(どこかの企業への問い合わせ)や上司にはSieのかたちで、友達や親戚、ご近所さんなどの顔見知りにはDuで書くのが良いと思います。
このあたりは以下のA1試験対策にもまとめているので、ドイツ語の試験が初めての方は参考になるかと思います!
次に大事なのは、よく使うフレーズは覚えておくこと。
最初はお手本の文章を読んでみて、自分が使えそうなフレーズをメモしておくのがいいと思います。そして自分で手紙を書く練習をするときに、そのフレーズを使ってみるのです。
例えば私は、手紙の結びに以下のフレーズをよくつかっていました。
Ich hoffe, dass es in Ordnung für Sie(/dich) ist.
((上述の内容で)あなた(きみ)が大丈夫だといいのですが。)
Sie können mich unter der Telefonnummer XXXXX erreichen.
(以下の電話番号XXXXXにご連絡ください。)
Vielen Dank für [Ihre Mühe/ Ihr Verständnis].
(ご尽力/ご理解に感謝いたします)
あとは、文章のどこかに副文(Nebensatz)を入れ込むこと。
Nebensatzとは、weil/dass/wennなどで始まり、動詞が文末にくる文のことです。
これはA2以降で習う文法なので、B1を取りたい場合はNebensatzをどんどん使っていきましょう!
また、試験官の経験のある講師が言っていたことですが、試験官は一日にいくつもの手紙を読むことになります。したがって、細かい表現はそんなに見てない、必要なトピックが書かれているかどうかをチェックしているとのこと。
作文の課題には、手紙の中に描かなければいけないトピックが4つ挙げられています。
この要素は、明確に書いた方が安心です。
難しい単語を使おう、複雑な文法を使おうとするあまり、文章の意味がわかりにくくなっては本末転倒です。自分の使える言葉で書くのが一番!
手紙は、最初と最後の挨拶を除き、本文だけで80語以上が目安と言われています。
私の場合は、各トピックについて、まずは導入の一文を、そのあと自分の想像で考えたシチュエーションを2~3文ずつ書くようにしていました。これでだいたい80~110語くらいになります。
会話(Sprechen)
口頭試験は、さらに3つのパートに分けて紹介します。
1. 自己紹介
2. 写真の説明
3. パートナーと会話(計画を立てる)
それぞれのパートで、実際にどのような対策をしたのかを紹介します。
Teil1 自己紹介
まず第一の自己紹介。これは、スラスラ話して1分程度のイメージで事前に準備しておきます。
話す内容に決まりはありませんが、基本的には、名前・(年齢)・職業・出身地・住んでいるところ・趣味などを話します。
それぞれの項目について2~3文で書けば大体ちょうどいいと思います。
気を付けておくべきポイントは以下の通り。
- 「Ich...」で始まる文が連続しない
△ Ich bin Hanako. Ich bin 25 Jahre alt. Ich wohne 2 Jahre in Berlin...
○ Ich bin Hanako und 25 Jahre alt. Vor zwei Jahren bin ich nach Berlin gekommen.
(私は花子で25歳です。2年前ベルリンに来ました) - 習った文法事項(過去形 Perfektや副文 Nebensatz)を使う
○ Ich bin vor 3 Jahren in Deutschland gekommen, weil mein Mann eine neue Arbeit hier gefunden hat.
(私は3年前ドイツに来ました、なぜなら夫が新しい仕事を見つけたからです)
自己紹介については、いろいろな意見があるかもしれませんが、私の先生は「丸暗記でいいから、とにかく止まらずに話せ!!」という方針でした。
先生曰く、
①自己紹介の課題があることは、受験者はみんな知っており準備をしてくるのは当然。話せずに止まってしまうと、事前に勉強していないように見える。
②第一印象が大事。残りの2パートを始める前に、「この人はたぶん合格だな」と思わせるのが大切。
スラスラ話していれば、試験官のほうも「この人は事前に勉強しているし、上手だな」と思います。むしろ「ストップ。もういいよ」と言われたもの勝ち!!
わたしも実際、準備しておいた文章の半分以下、30秒もせずにストップがかかりました。
自己紹介の後は、試験官から1~2つ簡単な質問があります。
これは事前にどんな質問が来そうか、どんな回答をするか考えておくと安心です!
最後に話した内容に関する質問になることが多いので、質問を誘導するような終わり方にするのもいいかもしれません。
例えば、最後に趣味として「Ich treibe einmal pro Woche Sport.(週1回スポーツをします)」と話したら、きっと「Welchen Sport treiben Sie?(何のスポーツをしますか)」と訊かれる可能性が高くなります。
確実ではないですが、質問に答えるのが苦手な人は、一つの戦略として参考にしてみてください。
Teil2 写真の説明
Teil2では、試験官から渡された1枚の写真に、なにが写っているかを説明する問題です。
受験者2名はそれぞれ違う写真を渡されますが、大体は共通のテーマ(例えば、ゴミ、公共交通機関、公園など)にまつわる写真になっています。
このTeilは一人当たり5分程度の持ち時間になります。約3分程度で写真の内容を説明し、2分程度で試験官の質問に答える形で自分の体験や考えを話します。
事前の準備として、私は以下のような対策をしました。
- よく使えるフレーズを覚えておく
- 説明のルールを自分で作っておく
(写真の手前から奥に向かって順番に説明する、
主題となっているモチーフから説明する 等) - 自分の経験談+聞かれそうな質問を考えておく
- よくあるテーマや日常的な話題を練習しておく
良く使えるフレーズや、説明のパターンは、以下の動画が参考になりました!
この試験では、間違えてもいいから、とにかくどんどん話すこと!
私はこのパートの練習中、先生から「Das ist einen Test zu sprechen, nicht zu denken!(これは話すことの試験で、考えることの試験ではない!)」と言われていました。笑
なので、練習中はいつも「考えてる暇はない、悩みながらでも話す!」くらいの気持ちで臨んでいました。
自主練習としては、通学中に見える景色を頭の中でドイツ語で説明していました。
個人的には、最初は一番このパートが難しかったですが、何度も練習すればパターンが身についてきます!
Teil3 パートナーと会話(計画を立てる)
Teil3は全部で2分程度、パートナーと二人で「与えられたテーマに関して計画を立てる」課題になります。
出題されるテーマは、例えば、「誕生日パーティを企画しよう」「友達の引っ越しを皆で手伝おう」などです。
これもTeil1と同じく、試験官から「もういいよ」とストップがかかるくらいスラスラ話すのが理想です!
最初は問題集に載っている回答例を音読しあい、その後内容をつかんだら、自分で考えた言葉で練習するのが良いと思います。
以下のポイントに気を付けて、試験のパートナーと練習してみましょう。
- よく使うフレーズを覚えておく。
特に意見を聞く(誘う)・賛成する・反対するフレーズは必須! - 会話がキャッチボールになるように意識する。
Yes/Noだけではなく、一言添えて返事する - 練習では5回ずつはお互いが質問・回答ができるようにする
ちなみに以下は、私がよく使っていたフレーズです。
- 誘う
Könnten wir machen/kommen/uns treffen?
(~しませんか/行きませんか/会いませんか)
Ich möchte … machen. Hast du Lust?
(~したいと思ってるんだけど、きみもやりたい?)
Ich habe eine Idee. ... Kommst du mit?
(アイディアがあるの。…。きみも来る?) - 意見を聞く
Was denkst du? (どう思う?)
Hast du eine Idee? (なにかアイディアある?) - 賛成する
Das ist eine gute Idee! (いいアイディアだね!)
Ich finde es auch gut. (わたしもそれがいいと思う)
Das ist super! (めっちゃいいね!) - 反対する
Das finde ich nicht gut. (それはあまり良くないと思う)
Ich würde lieber … machen. (…するほうがいいと思う)
会話がいつもワンパターンになってしまう人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、私のしてきたDTZでB1を取るための試験対策でした!
繰り返し出てくるように、作文や会話はパターンやよく使うフレーズを抑えてしまえば、点数を取りやすいと思います。
初めは難しいと感じるかもしれませんが、フレーズは使いかたさえ覚えてしまえばこっちのもの。
参考書やYoutubeに出てくる回答例をみながら、使えると思うものはどんどんメモして、練習で使ってみてくださいね!
また、別の記事に、実際に私が試験を受けたときのことを書いています。
ぜひこちらも出題例・回答例の参考にしてください。
ドイツ移住者には大事なDTZの試験。この記事が皆さんのお役に立つと嬉しいです!